当初、昨年の「Krush.103」で卜部功也を1RKOし、衝撃を与えたジュー・シュアイとの試合が予定されていた林だが、コロナウィルスの影響によりシュアイが欠場。代わりにWBCムエタイ・スカンジナビア　ライト級王者の実績を持つスウェーデンのフォークと対戦することとなった。
　
　公開練習場所として指定された光綾公園にトレーナーのキヨソンセンと共に意気揚々と現れた林。公園の遊具や自然を使ったトレーニングでも披露するのかと思いきや…林が手にしたのはスウェーデン産の缶詰で「世界一臭い缶詰」と言われるシュールストレミング（発酵したニシンの缶詰）だ。

　前回、ミャンマーラウェイ王者・金子大輝と対戦した際、ミャンマーの激辛料理を食べてメンタルを鍛えた林は、今回の公開練習の意図を「次の相手がスウェーデンの強豪なんで、スウェーデンの強豪が何を食べて強くなっているのか。キヨとチームで原因を解明していきたいと思います」と説明。

　手袋にレインコートまで着用して完全に戦闘態勢を整えた林とキヨソンセンだが、缶詰を開ける段階で既に戦々恐々。林は自分で缶詰をあけることが出来ず、キヨソンセンにその役を押し付ける。しぶしぶキヨソンセンが缶切りで缶を開けると、その瞬間に強烈な悪臭と液体が噴出。まともに汁を浴びたキヨソンセンを見て爆笑する林に、キヨソンセンは林の鼻に液体をつけて反撃する。

「臭い！！」を連呼しながらもシュールストレミングと相対した林は、覚悟を決めてニシンをパクリ。苦悶の表情を浮かべながら「美味しい」と強がる林だが、その後は一切手を付けず。「そらこんなもん食べとったら強なるわ、こんなもん無理や！」と完全に開き直ってシュールストレミングとの対戦を終えた。

　気を取り直してインタビューに応じた林は「あれを毎日食ってたら、そらメンタル強なりますよね。まあ俺も食べて一皮剥けたんで、また1つ強くなりましたね」とシュールストレミングとの対戦でメンタルが鍛えられたと力説。「食べたっていう結果は結果ですから、もう勝ちでしょ。トレーナーのキヨが褒めてましたもん！　キヨ食べれなかったし、僕は気持ちが強いんだなって改めて分かりましたね。もう試合に対する恐怖心も何もない。あの魚のほうが怖いっすね」と「世界一臭い缶詰」に打ち勝ったと主張した。

　今回は対戦相手が二転三転したが、林は「試合の映像も見たんですけど、そんなに怖いタイプではないかな。でもベルトも何個か持ってて、スウェーデンの魚も食ってるとすればメンタルも強い。良い打合いになればなって期待してます」とフォークのメンタルは強いはずだとその印象を話す。

　実践練習での対策を聞かれると「誰が相手やったとしても関係なく、1つ1つステップアップするために基礎から頑張り直してる。ちょっとづつ進化してるのは自分でも実感してるんで楽しみです」。会見ではゴンナパー戦へのこだわりを熱弁していたが「ゴンナパー戦に向けて落とせないけど、ゴンナパー選手も4月落とせないと思うんで。みんな一戦一戦落とせないのは変わりない。今は何もゴンナパー戦に対して思うことはない」と現在は目の前の試合に集中している。

　SNSで愛息がフライスカイジムで一緒に練習している様子をアップし、以前は「子供を泣かせない試合」を1つの目標に掲げるなど“家族愛”をテーマに戦ってきた林だが、格闘家として集中出来る環境が整った今は強くなることに全力を注いでいる。

「今まではすごい家族のためにって気持ちが強かったんですけど、またボクシングのトレーナーとかも付いてくださって、ムエタイはキヨ、フィジカル、食事のトレーナーについてもらってホンマに格闘家として最高の環境でやれている。これから自分がどれだけレベルアップ出来るか、すごい自分自身が楽しみです。チャンピオンになってからの1年は一試合一試合家族のために頑張るぞって感じやったんですけど、今年に入ってからはより環境が整った。ホンマに今年からが楽しみですね」

　K-1王者、アスリートとしてひたすら強さを追及できるバックアップ体制が完全に出来上がり「あとは自分がどれだけやれるか」と今後のファイターとしての更なる飛躍に期待を膨らませた林。最後は「世界一臭い缶詰めも食べたことやし、また一皮剥けた林健太を楽しみにしとってください。恐怖心も何もないのでガッツリボコボコにしてやります」と力強い言葉で締めくくった。最高の練習環境とシュールストレミングとの対戦で一皮剥けた姿を見せ、他のK-1王者に負けないインパクトを残せるか？