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[ニュース]2020.3.5
「K'FESTA.3」3.22(日)さいたま 木村“フィリップ”ミノル、スーパー・ウェルター級のベルトを巻いて“階級を超えた存在”へ!「魔裟斗さんの言葉で強い覚悟が芽生えた。今回のトーナメントは特別です」
    
 3月5日(木)東京・恵比寿のFighting Kairosにて、3月22日(日)さいたまスーパーアリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN 〜K'FESTA.3〜」の[K-1 WORLD GP第3代スーパー・ウェルター級王座決定トーナメント・一回戦(1)/3分3R・延長1R]で海斗と対戦する木村“フィリップ”ミノルが公開練習を行った。
 昨年はK-1全大会に出場し、Krushでの防衛戦も含めると6戦6勝6KOという成績を残した木村。「K'FESTA.3」では階級をあげてスーパー・ウェルター級のベルトをかけた王座決定トーナメントに挑む。

 公開練習で木村はキレのあるシャドーボクシングをこなした後、矢口トレーナーの構えるキックミットに力強い左右のミドルキック。パンチに関してはヒザ蹴りにつなげる右ストレートを放ったのみで、ほぼパンチのみでKOの山を築いてきた姿からすれば驚きの公開練習を披露した。「トーナメントは何があるか分からない。今日の公開練習は両拳が折れた場合の対策」と笑う木村だったが「蹴り自体は試合中に僕を救ってくれる武器になる。蹴りも精度を高めているんで、トーナメントではキャリア初の蹴りでのKOも見せられたら良いなと思ってます」と蹴りのスキルアップにも自信。

「もちろんパンチも究極に仕上げているし、スーパー・ウェルター級になったらさらにモノが違う。当日のサプライズとして楽しみにしてもらえたらなと思って今日は非公開にした」と剛腕炸裂は当日の楽しみにしてほしいと語った。

 これまで-69kg契約の試合はあったものの、-70kgのスーパー・ウェルター級での試合は今回のトーナメントが初めて。木村は「やっぱり一階級上げるというのは並大抵のことじゃないし、しかもトーナメントとなったら身体へ負担も何倍にもなってくると思う。それを見越したトレーニング、それに耐えるだけの身体を作るために激しく追い込んで来た」とスーパー・ウェルター級でのトーナメントを戦い抜くために過酷なトレーニングを己に課してきた。

 そのおかげで「トレーニングで良いところと悪いところをどちらも乗り越えて、コンディションも良い感じに落ち着いて、今は万全の状態で試合を待つだけかなって感じですね」と仕上がりは万全で「今はもう自信満々。より爆発力と瞬発力、スピードも上がって自分自身はすごい楽しみなコンディションが出来上がった感じがありますね」と自信が漲っている。

 2019年は6戦6勝6KOで「K-1 AWARDS 2019」ではKO賞と技能賞を獲得。木村自身、意外だったという技能賞の受賞だったが「試合中に色んなトリックを仕掛けている」と話すように、パンチを当てるための技術・テクニックには確固たるものがある。

「ただ単にハードパンチを持っているだけじゃなくて、試合中に色んなトリックやテクニックを散りばめて、その結果倒すのが僕のスタイル。技術的な面はそんなに分かりやすく見せるタイプではないんですけど、実は試合中に色んなものをリングの上で出していきながら相手を術中にハメるのが僕のスタイルなので、技能賞をもらえたのはそこも認められたのかなと思いました」

 豪快なKOの見栄えとはまた違う技術トやテクニックの数々。木村はK-1に限らずあらゆる格闘技にアンテナを張ることでインスピレーションを得て、自分の中に取り込んできたという。それも8歳の頃からだ。

「サウル・アルバレス(※ボクシング世界4階級制覇王者であったり、その辺の階級のボクサーはもう全パターン完全にインプットしているぐらい見てるので、それが身体に染み込んでいたりしますね。まあ彼のパンチはレベルが違うんですけど(笑)。クルーザー級でもああやって一撃で仕留めてしまうぐらいなので、そこを目指しながら、コンビネーションであったり色んなテクニックも磨いていきたいですね。

 僕は職業が格闘家だから、色んな選手を見て研究することももちろん仕事。自分のスタイルが崩れるのは良くないですけど、色んなものを取り入れています。プライベートの時に色んな格闘技の試合を見て、取り入れたものをジムで磨き上げて。アルバレス、マイク・タイソン(※伝説的な元世界ヘビー級王者)、エドウィン・バレロ(※生涯プロ戦績でパーフェクトレコードを保持したハードパンチャー)であったり、偉大なファイターをたくさん自分の目で見て、それを自分でシェイクしてジムでそれを磨いていく感じです。あくまで僕のスタイルというものもあるんですけど、そこに取り入れられるものは取り入れる、と。

 超一流というのは、大きく言うと結局はつながってるんですよ。だからたくさん色んな選手の試合を見ることはすごい大事なことだなと思います。トレーナーに言われて、それが分からないまま家に帰って映像を見て『あれ!? こういうこと言ってるのかな』って発見もあったりするんで、映像を見るというのは僕の中では絶対に毎日欠かさずやってますね。

(それを意識するようになったのはいつ頃?)いつ頃かっていうと8歳ぐらい(笑)。もちろんそのぐらいから格闘技もやってたんですけど、元々僕は色んな選手を見てインスピレーションをもらって、それを自分のセンスにするというのを子供の時からやってるので。そういう意味では、それが今でも変わってないなって感じですね。K-1やボクシングを見るというのはもう宿題みたいな感じです。

 小さい頃からお父さんがシュガー・レイ・レナード(※80年代の中量級黄金時代を築いた名ボクサー)やトーマス・ハーンズ(※レナードともに80年代に活躍し史上初の5階級制覇を成し遂げた)が好きで、そのビデオが家にあったんですよ。だから80年代のボクサーも小っちゃい頃から見ていて、初めて見た試合がレナードとハーンズの試合だったり(笑)。そういうコアなボクシングの映像とかずっと好きで見てるんで、その頃からパンチしか知らないですね(笑)。

 お父さんとはもうずっと連絡は取ってないんですけど、そうやって格闘技の種を与えてくれたのはすごいありがたいと思うし、今でもそれを夢として追い続けている。特に今回のトーナメントのようなキャリアの大事な一戦の前になると、それを強く思います。ありがたいなっていう感謝の気持ちですよね。多分どこかで見てくれてるんじゃないですかね。けっこうブラジルにもK-1は届いてるみたいで、試合の映像を見てくれてる人は多いみたいなんで。もしかしたら見てくれてるかもしれないですね」

 そんな色々な想いも抱いた中での今回のトーナメント、木村は何よりも一回戦に集中することが優勝への鍵だと考えている。

「一回戦の海斗選手は見た感じ骨太で身体が頑丈なイメージがありますね。だからパンチも蹴りも強いし、彼の倒してきたパターンもけっこうちゃんと映像で見ました。研究はしっかりしたので危ない攻撃は分かってます。それを踏まえた上で、僕の試合をするだけですね。そんなにプレッシャーに感じるとこは大してないですね、経験値が違うので。

(トーナメント全体ではミラン・ペイルスを気になる選手に挙げていたが?)試合を見た感想でなんか強そうだなと思ったんですけど……すいません、その選手のことを誰かも忘れてました(笑)。城戸選手とやる彼? 彼は背丈も大きい感じで身体も頑丈で、ちょっとトリッキーなところもあるタイプだったんで。その時映像を見た印象で一番こいつが強いんじゃないかなと思いました。

 城戸選手はニコラス・ラーセンが強いって言ってましたけど、意外に僕からしたらそこは大したことないかなって印象ですね。僕の中では和島選手の方が強いと思います。ただ海斗選手との試合が一番僕の中では重要な試合ですね。やっぱり頑丈だし、一回戦はどっちもダメージない状態で彼も僕を倒すっていうモチベーションはものすごく高いと思うので。正直一回戦を乗り越えればって感じですね。一回戦をどれだけきれい勝つかにトーナメント優勝がかかってると思います」

 木村は「K-1という1つのジャンルにおいては、K-1=トーナメントというのは昔からの構図だと思うので。それを優勝してこそK-1ファイターとしてポジションを確立できるのかなとは思います」とトーナメントに優勝してこそ真のK-1王者に相応しいと語る。「「K-1 AWARDS 2019」の授賞式では、魔裟斗さんから直々に「僕が2003、2008年にチャンピオンになって以降、2003年からは17年間このミドル級では(日本から)チャンピオンが出てません。ぜひ今度の『K'FESTA.3』で木村選手には頑張ってほしいと思っています」と熱いエールが送られた。その言葉でより一層覚悟が決まったと語る。

「あの言葉は正直軽い気持ちでは聞いてなかったです。魔裟斗さんの後ろで、ああやって魔裟斗さんがマイクで僕のことを言ってくれてた瞬間は、決して軽い気持ちでは聞いてないですね。あの瞬間にすごい覚悟も決まったし、それこそ一瞬少年に戻りましたね。『僕のこと言ってくれてる!』って。だから絶対にやらなきゃってすごい強い覚悟が芽生えました」

 会見やインタビューではスーパー・ウェルター級制覇後はウェルター級も狙うと明言していたが、K-1王者に輝いた先に木村が目指すのは“階級を超えた存在”だ。

「階級関係なくこれから活動していきたいというのが僕の中であります。幅広く強い相手とやるスタイルを創っていきたいっすね。階級に縛られないスタイル。僕独自のキャリアの積み方をやっていきたいですね。

(例えばK-1ではまだ実現していないチャンピオンvsチャンピオンの試合をやりたい?)もちろんそれはやらないといけないと思います。今後K-1が伸びるためにもダブルタイトルマッチとか統一戦っていうのは絶対にないといけないと思うし。それを中量級の二階級でやることはすごい意味があることだなとは思いますね。(二階級の王者が出場する世界最強決定トーナメントなどは?)そういうのもありじゃないですかね。そういう今までないような展開もどんどん創っていきたいですね」

 試合まで3週間を切り「今回のトレーニング期間が一番張りつめてて、トレーニングに集中しきってちょっと孤独感を感じることも多いんです。それが待ち焦がれたK-1のベルトを手に入れる前なのかなって思うと、それも我慢出来たり。逆に夢を叶える前はこのぐらい孤独感というか、辛い思いをしなきゃ実感が沸かないなって思ったりしてます。だから今回の試合は特別です」とトーナメントを目前に控えた現在の心境を吐露した木村。

 最後に「スーパー・ウェルター級のトーナメントということで昔から歴史のある階級で僕が必ずチャンピオンになります。会場に来られる方、今はすごい敏感な時期かもしれないですけど、試合会場に来てくれたら僕がものすごいパワーとエネルギーをみんなに与えて、免疫力を上げて帰ってもらいたいなと思うので(笑)。すごい試合を期待しててください」とファンに向けてメッセージを送った。

 木村は悲願のベルトを腰に巻き、自らが思い描く中量級新時代の幕開けとすることができるか?
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