現体制のK-1に旗揚げ当初からトップファイターとして活躍してきたものの、意外にも今回が「K'FESTA」初参戦となる山崎。11月のK-1横浜大会、1月のKrush後楽園大会と連戦が続いているが「良い状態で連戦出来たんで、このまま3月も持って行けそうな感じです」と短期間での連戦も良い方向に作用している様子。公開練習では持ち味でもある素早い出入りからパンチで飛び込み、距離が詰まるとパンチのコンビネーションから体を入れ替え離れるアクションを随所に見せた。

　1月のKrush後楽園大会で山崎は試合直前のスパーリングでクルーザー級の愛鷹亮にKOされるアクシデントもあった。しかしそこは実戦さながらの“ガチスパー”で知られるKREST、山崎は「そこがやっぱり僕らの強さの秘訣」と語り「亮にもいつかまたやり返すからなってスパーリングを頼んでます」と変わらずガチスパーを重ねている。

　その愛鷹も「K'FESTA.3」でクルーザー級のタイトルマッチが決まり「チーム全体の士気も上がってると思います。亮だけじゃなくて武尊も（野杁）正明も出ますし、隣が熱くなってればその熱をもらって全体的に良い雰囲気で練習できています」とK'FESTAに向けてKRESTとしても最高の雰囲気を保っている。

　対戦相手の寺島は4戦4勝で一気にK'FESTAの舞台まで駆け上がり、極真空手と伝統派空手をどちらも学んでいるユニークな格闘技歴、そしてそれをファイトスタイルに反映させている新鋭だ。山崎も寺島と同じ伝統派空手のルーツを持ち、その技術を活かしてK-1・Krushのリングで時代を切り拓いてきたという矜持がある。

「自分のあとに伝統派空手の選手で、K-1・Krushで結果を残す選手が出てきたことは、僕も興味深いものがあります。僕以外にどういう戦い方をするのかなって見方があって。でも自分としては伝統派空手をK-1スタイルに変えて、Krush・K-1で戦ってきたっていう自負があるし、僕も空手ではかなり厳しい道場・学校でやってきたって自覚があるんで、そこでは負けないですね。

　寺島選手も聞くとけっこう（空手の）名門校らしいんで生半可ではないと思いますけど、伝統派空手と喧嘩空手がぶつかった時にどういう試合になるかは自分としても楽しみにしてます。彼は極真空手もやってたそうなんで接近戦も出来ると思いますし、僕も接近戦は好きなんで。試合がどうなるか楽しみですね。

（寺島が極真と伝統派空手を共に学んでいることについて）僕は極真をやったことがないんで分からないですけど、伝統派空手と極真空手って野球とソフトボールぐらい違うと思うし、試合で（差を）見せつけたいです」

　会見では山崎に尊敬の念を示していた寺島だが、公開練習では「僕が山崎選手より勝っているところで勝負すれば、自ずと僕に勝ちが傾いてくると思う」と勝利への確信に近いイメージも出来上がっていると言い切った。

　それを伝え聞いた山崎は「その発言もそうですけど、言うのは簡単ですから。試合になって僕がそういうところをしっかり潰していくじゃないですけど、さらにレベルの高い伝統派空手・K-1を見せれたら一番良いかなと思います」と真っ向から叩き潰す構えだ。

　今回の寺島戦も含めて、最近は下克上を狙われる立場での試合が続く山崎。かつて自分が追う立場だった頃を振り返り「当時も上の選手に対して『実力では絶対俺の方が強いからな』という強い信条を持って、それを自分に言い聞かせながらやってました。もしそれが現実的じゃなかったとしても自分の方が強いと自分にだけは信じ込ませる。ポジティブに考えてポジティブに発言することで、自分のマインドを錯覚させる意識でやっていました」と語る。

　追われる立場になった今でも「僕は人生の中で今が一番強いと思っているし、追われる立場になっても今が一番良いメンタルで試合に臨める状況やと思っている」と断言。過去に大怪我を負って長期欠場を強いられた苦難の時期も「お前らぐらいにはちょうどいいぐらいのハンデだ」とポジティブシンキングを貫ぬいて完全復活を果たしてきた。

　心身共に今が最強かつ最高の状態。その上でファンに提供するのは山崎秀晃のプロフェッショナル＝豪快な勝ち方・KO劇だ。

「相手どうこうよりも自分の強さを追及して、いずれ来るであろうタイトルマッチに向けて良いトレーニングを積んでいるというのが一番。最近は下克上を受ける形の試合が続いてますけど、準備運動はこれぐらいにして。あんまり僕からは言わないですけど、結果と形でアピールしていきます」

　山崎は宣言通りに寺島を叩き潰し、結果と内容でタイトル挑戦を手繰り寄せることが出来るか？