――まさに滑り込みでの世界トーナメント出場となりました。オファーを受けた時の心境を聞かせてもらえますか？

「うれしかったですね。日本人選手は出ても2人だと思っていたので、滑り込みという形で出させてもらうことになって、良かったなと思いました」

――HIROYA選手自身、日本代表決定トーナメントでの戦いぶりをどう感じていますか？

「1回戦が寺崎直樹選手、準決勝が野杁正明選手だったんですけど、試合内容や結果というよりも単純にどちらの試合も楽しめて、充実した試合だったと思います。もちろん野杁選手に負けたことや、その時点で世界への道が閉ざされたことは本当に悔しかったです。でもやっと自分の力を出せるようになってきた感じがして、そこでの充実感は大きかったです」

――試合前の取材でも「気持ちの面が変わった」ということを口にしていましたが、試合でも変化を感じることはありましたか？

「何が大きかったかというと、去年4月に木村"フィリップ"ミノル選手に負けて、格闘技を辞めたいなと思ったんです。でもその時に色んな人たちの支えがあって戻って来ることが出来て、年末のRIZINでKO勝ちして、3月の日本トーナメントという流れで。この期間は色んな感情になって、一皮剥けたというか、もともと性格的に動じないところはあったんですけど、そこが試合に出るようになったかなと思います」

――あれだけ楽しんで戦うことが出来たのは初めてですか？

「そうですね。なんだかんだで緊張はしますけど、その種類が違うというか。ワクワクして戦うことが楽しいと思えました」

――気持ちだけでなく、身体の仕上がりも非常によかったように感じました。

「フィジカルトレーニングの成果もあるし、減量も計画的にやるようになったし、大人になったんだと思います（笑）」

――しかも1回戦の相手が現-65kg王者のゲーオです。

「最初に聞いた時は驚きました。でもそれは『うわっ…』という驚きよりもワクワクでしたね」

――HIORYA選手は2014年11月の初代王座決定トーナメントの時からずっとゲーオとは戦いたいと言っていましたよね。

「僕はタイに留学していた時期もあるし、ムエタイの試合をやったことがあります。でもあれだけすごいレベルのタイ人と試合をしたことはないので、経験や試合数は全然違いますけど、自分がどれだけ通用するのか楽しみです」

――K-1でも色んな日本人選手がゲーオと戦ってきましたが、HIROYA選手はタイ留学の経験もあり、ムエタイでも名選手だったノッパデッソーン（ノップ）トレーナーから指導を受けています。そういった部分はVSゲーオにおいてアドバンテージになると思うのですが、いかがでしょうか？

「逆に向こうのペースに付き合ったら絶対に勝つことは出来ないと思うんですけど、他の選手よりもムエタイを知っていると思うし、その上で試合に挑んでどう戦うかは自分次第だと思います。ノップにはサウスポー対策だったり、ゲーオ選手の真似をしてもらって対策を練っています」

――こうしてお話を聞いていても、今回いいメンタルで最高の相手と戦えるのではないですか？

「はい。ここで負けたらやめるとか、そういう気持ちはないんですけど、残された数少ないチャンスだと思うので、思いっきり戦いたいと思います」

――ゲーオという難敵をクリアすれば、準決勝で因縁の相手・野杁選手との対戦が実現する可能性があります。（※HIROYAと野杁は過去に4度対戦し、すべて野杁が勝利している）

「もし実現すれば5回目になるんですけど、野杁選手が強くて嫌だなとか、そういう気持ちは一切ないです。野杁選手の強さは分かっていますけど、それも楽しみというか、また野杁選手と戦いたいです」

――ずばりこのトーナメントを自分にとってどんなトーナメントにしたいですか？

「僕は滑り込みの出場なので、僕が優勝すると予想する人は少ないと思うんですけど、楽しんで自分の戦い方をしっかりやれば、結果はついてくると思います」

――ファンも含めて誰よりも楽しみたいですか？

「ちょっとコイツバカじゃないの？と思われるかもしれませんが（笑）、世界トーナメントを楽しんで戦いたいと思います！」